薪窯焼成(窯焚き)
【薪割】
松ケンタ材の束の直径は1.2m前後。長さ2mと4mサイズがある。
最初、ゴロ太を使用していたが、7t加圧薪割機でも太くて節もあるゴロ太は1人で割れない。長さも揃えにくいので、ケンタ材に切替えた。
丸ノコで50cm程度に切断、それを薪割機で縦割り。切っては割り、切っては割り・・・・・・。延々と5日間程度続けると薪割は終わる。
薪は窯の周辺に積み上げ、その後2ケ月程度乾燥させる。
【窯詰め】
焼締めなので基本自然釉狙いだが、炎や灰の届かない所もあるので釉薬けの作品も準備する。耐火度違いの作品、作品の大小、作品の数、炎の流れ、出来上がりイメ-ジなど、考えながら作品詰めをしていく。なにせ小さい窯なので窯内は狭く変形姿勢となり大変。この窯でも約1日の作業となる。
【本焼き】
お神酒をあげ火の神に『事故、怪我なく安全で、良い作品ができるように!』と薪くべ職人3人、神聖な気持ちで手を合わせる。
【あぶり】
最初は灯油バ-ナ-をロストル下でスタ-ト、約12時間。バ-ナ-は薪より安心、薪くべ職人3人もゆっくりとウォ-ミングアップできる時間帯だ。攻め作業のため体力作りもしておかなければならない。食事時間はバーベキュ-だ!
200~700℃は作品に大きな収縮変化が起きる温度帯だ!時間ロスも考え200℃位で薪に切替えていくが、薪の置く位置で手前大物作品に大きな温度変化を与えてしまう可能性があるので慎重にしなければならない。
900℃までゆっくりとあぶる。
【攻めとねらし】
900℃にると煙突ダンパ-とロストル下の間隙を閉め調整する。いわゆる還元焼成である。酸素不足状態の焼成なので温度上昇率が鈍る。まさに攻め状態となる。薪くべ職人の技が必要、薪太さの大小、薪水分、投入本数、投入位置、投入間隔、投入時期、投入方法、レンガや作品の蓄熱放熱、熾の加減等の要因を駆使して攻めを乗り切る。1250℃まで2日間 最後にねらし時間をとる。
上がりにくい温度を上げると共に熾、炎をどう扱うかで、窯変、灰被り、自然釉、緋色、なども変わってくる。ねらし、火止め、冷却方法にも作品変化の要因になる。難しいが面白いことでもある。
【窯出し】
窯止めから一週間後窯出し、期待と不安、喜びか悲しみか、炎・燠がコント-ロ-ルできたか否か? 結果がでる瞬間だ!